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米国ニューヨークマントサイナイ病院で音楽療法の講習を受けてきました。

2018年01月29日

2017年11月にニューヨーク市マントサイナイ病院へ「NICUにおける音楽療法研修プログラム」の講習を受けてきました。

海外研修報告書

研修「新生児集中治療室・回復室における音楽療法について」

期間:2017年11月5日~11日
「NICUにおける音楽療法研修プログラム」11月6日~9日(4日間)
場所:
●The Louis Armstrong Center for Music and Medicine(ルイアームストロング音楽療法センター),Mount Sinai Beth Israel(マウントサイナイ・ベス・イスラエル病院)6 Silver 21,First Avenue at 16th Street, New York, NY 10003
●Kravis Children’s Hospital at Mount Sinai(マウントサイナイ・クラビス・小児病院)1184 Fifth Avenue,New York, NY 10029
参加者:4名
清水正樹:新生児科部長、菅野雅美:新生児科医長、小谷マミ子:5A病棟看護師
中野友里那:5B病棟看護師
*米国連邦法により個人情報保護のため、病室内、患者、家族の写真撮影は禁止されていた。許可の得られた場所での写真撮影のみ許可され、音楽療法の実演中や実習中の撮影ができなかった。

米国、ニュヨーク市内にあるマウントサイナイ・ベス・イスラエル病院、マウントサイナイ・クラビス小児病院および系列のマウントサイナイ・ウエスト病院、マウントサイナイ・ユニオンスクエア病院で米国ニュヨーク市認定音楽心理療法士による4日間の「NICUにおける音楽療法」の研修を受けてきた。
音楽療法士は米国国家資格であり、さらにニュヨーク市では「音楽心理療法士」として認定をしている。日本の「音楽療法士」とは異なり、音楽療法士としての教育、実技、実習、臨床経験のほかに、心理療法士としての教育、実習が必要とされ、音楽療法士と臨床心理士としての働きもしていることがわかった。特にNICUにける音楽療法は、患児や患児家族に対する音楽療法のみならず、スタッフ、NICU環境に対する音楽療法も行っていた。さらに驚いたのは、音楽を使わずにハイリスク新生児の家族への心理的サポートも行っていた。
研修はまず、音楽療法に関する基本的な概念のセミナーがあった。音楽療法には通常の楽器(ギター、ピアノなど)の他に「ガトーボックス」「オーシャンディスク」などの特殊な音を出す楽器も使う。新生児領域だけではなく、「小児のがん治療患者の精神的サポート」「手術室入室前の精神的サポート」「MRI検査中の精神安定」「集中治療室でのホスピスケア」などにも、音楽療法の導入がされていることが説明された。一方的な音楽とは異なり、患者のバイタルサイン、全身状態、精神状態、治療内容に合わせた音源(楽器)を使って、音楽療法を行っていて、その具体的な事例について説明と討論がされた。
セミナー後は、実際に2組に分かれて音楽療法士に同行して、マウントサイナイ系列病院の新生児集中治療室NICU/GCUでの音楽療法を実践を視察してた。
音楽療法事例1:保育器内で激しく啼泣する新生児には、楽器を使わずに特殊な音域の声(生の声)で、啼泣に合わせて発生し、徐々にその鳴き声と音楽療法士の声が同調し始めた。すると、激しく泣いていた新生児は啼泣をやめて呼吸状態、酸素飽和濃度も安定した。
音楽療法事例2:極低出生体重児の哺乳不良に対しては、経管栄養と経口哺乳の訓練として、ガトーボックスを使い、心拍数と吸啜とのリズムに合わせて音を出して、音と同調させて哺乳を促進させていた。
音楽療法事例3:緊急入院がありスタッフがあわただしく動いている新生児集中治療室では、音楽量療法士がギターの演奏を始めた。最初はアップテンポのリズムから始め、次第にスローテンポの曲に変化させていった。すると、ざわついていたスタッフは、私語が減りNICU全体の雰囲気が落ち着き、静寂が戻ってきた。
このような事例を、音楽療法士に同行しながらマウントサイナイ系列の4つの病院で二手に分かれて様々なタイプの音楽療法を視察した。
最終日に、音楽療法士、新生児科医、NICU看護師との討論会を行い、米国と日本の音楽療法に対する認識の違いや、今後の導入方法、効果判定の科学的実証の仕方などについて検討会を行った。
今回の研修を通して
1.「音楽療法」とは「音楽」だけではなく「音」を使った音楽心理療法であること。
2.新生児集中治療室でハイリスク新生児のバイタルサインの安定、呼吸状態の安定、哺乳の促進、家族の精神的サポート、スタッフの精神安定など、様々な効果があることが分かった。
3.新生児領域だけではなく、小児救急、小児周術期、小児がんなどの領域でも、十よな役目をなしていることがわかった。
今後、当センターでの音楽療法導入に関して有意義な研修だった。

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